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スズキヨシカズ幻燈画室

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満月ノ晩ノ蒼色幻燈会 ... 始マリ始マリ

モンセ 1

スリアという小さな町に暮らしていた。

スペイン国カタルーニャ州バルセロナ県スリア市。フランスとの国境、ピレネー山脈にほど近い、塩の結晶を採掘する鉱山の町で住人の殆どがその鉱山に働く坑夫とその家族だった。
スリアでは坑夫たちの肖像を描いていた。
現役坑夫ではなく、朝からバール(カフェテリアとレストランと居酒屋が一緒になったようなお店で大人ばかりでなく子供たちも自由に出入りできる)でセルベッサ(日本のビールよりもアルコール度数の高いスペインビールだ)を飲みながら夕刻までカードに明け暮れている、もう鉱山では働けなくなった老坑夫たちの肖像画だ。
皆、その生き様を刻み込んだような深いしわだらけのとても良い顔をしているんだ。

その町にモンセと言う名前のお婆さんが住んでいた。
ただ『モンセ』と言うだけで名字も何も知らない、、、。ただ、バールや街角で絵を描いていると、散歩しているのか、、、うつむき加減で歩いている姿をよく見かけた。言葉を交わしたことは一度もなかったと思う。酔っぱらいじいさんの一人から「旦那に先立たれて以来ずっと喪にふしているんだ、、、」と聞いた憶えがある。何時から「ずっと、、、」なのかもわからない。あの当時で、モンセ婆さんは80歳は越えていたと思う。

「描きたい」 、、と思った。

とてもとても「描きたい」と思って、たくさんたくさんモンセ婆さんを描いた。

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              (スズキヨシカズ絵画作品『蒼い鳥』〜モンセばあさんの肖像〜)
by yoshikazusuzuky | 2011-01-17 00:39 | スズキヨシカズ的アート | Comments(0)