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スズキヨシカズ幻燈画室

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満月ノ晩ノ蒼色幻燈会 ... 始マリ始マリ

la planta 7

深く深く乳白色の霧が立ちこめる風景に目を凝らしたなら何が見えるのだろう?

霧を構成する乳白色に細かな細かな水滴の水晶体は、いつしか僕の目に同化して、僕に様々な映像を伝えてくる。 それが霧の中に在るモノなのか、あるいは霧が見せる幻影なのか、僕に識別する事は困難だ。


ずっとずっと前だけれど、夜の始まる時刻に僕は山道に車を走らせていて、濃い霧の中、道を見失った事がある。

「怖かったな、、」

「ほんとうに怖かった。」 すべてが真っ白に閉ざされた世界なんだ。

車をゆっくりと前進させると濃い霧に阻まれてほとんど目の前数メートルしか照らせないヘッドライトの輪の中で、まさに『乳白色に細かな細かな水滴たち』が渦を描きながら、、まるでその一粒一粒が意思を持った『蟲』であるかのように蠢いている様は、異次元への入り口の様にも見えて、僕は何度もためらってはブレーキを踏んだよ。
「これ以上、動いてはいけない。」 そう思って車をその場に(何処に居るのかもわからないけど)停めても、車を取り囲んでいる白い霧の存在は重たかった。 怖くてヘッドライトを消す事なんて出来なかったもの、、。

時間の感覚まで失いかけていた僕には永い永い時間に感じたけれど、2、30分間の出来事だったのだろうと思う。 僕は二つの映像を見たんだ。(見せられた、、?)

一つは『黒猫』の映像。
僕が飼っている黒猫が突然ライトの中に現れ、一度こちらを振り返ってからゆっくりと霧の中に消えて行った。 これは幻影だったと思う。 でも結果から言うと、霧が晴れてきた時、その黒猫の消えて行った方向に帰り道が続いていたのだからただの『幻』とは言い切れないのかもしれないが。

もう一つは『ヤマユリ』。
これは現実の映像だ。 これも霧が晴れた後でわかった事だけれど、僕が車を停めていた場所はヤマユリの花に囲まれていたのだ。 でもその時、白い霧のフィルターを透した様に現れたヤマユリの花や葉の輪郭だとか色だとかは、とても現実世界の映像とは思えないほどの美しさを感じたな。


『la planta』と題名の付いた植物写真のシリーズは、そんな現実世界と非現実的な世界との狭間を写し撮りたいな、、、との想いを込めて撮っている写真たちです。

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               スズキヨシカズ写真作品 『la planta 7』
by yoshikazusuzuky | 2011-02-01 23:47 | スズキヨシカズ的アート | Comments(0)