『つくりびと』第58号
きょうは朝から
たいへん忙しくしていた僕でしたので、
毛布の下から
こんな不機嫌顔で睨まれましたが仕方なし
、、
カニかまのっけ盛りカリカリ丼を朝食に準備して、
黒猫のパトさんには外出を
(丁重に)お願いしたのでした
。
去り行く黒猫
、、
現れた白猫
、、
なんとも憎めない
白猫のノラさんです
。(もちろん「ご飯」で繋がっているコトは承知していますが
僕が帰宅すると遠くから走りよって来るノラさんを
こしこしすりすりなでなでなでと
パトさんと同様に愛してしまっている僕がいます)
(やれやれ) f^^:
『つくりびと』第58号
が発刊となりましたので
ご紹介させていただきます。
今回は
『キラキラを追いかける子どもたち』
と題して、
アルミホイルより生まれた
「光のうろこ」
誕生の話しを書きました
。
『キラキラを追いかける子どもたち』
~「光のうろこ」が生まれた日のお話し~
「トントントン」「トントトトン」かなづちの音が重なり合った不思議な拍子が旋律に変わり部屋の中に満ちると、
「キラキラ」「キララ」子どもたちの手の中に瞬く光が現れます。 そしてその新しい光たちは、誰にともなく不思議な物語を語り始めるのです。
僕は福島県白河市という町で子どもから大人までを対象とした絵画造形教室『かいがきょうしつ リベラ』を主宰しています。
始まりは教室に置いてあった台所用品のアルミホイルと金槌(かなづち)でした。「ピリリリリ」ひとりの子がアルミホイルを箱から引き出し破り取りました。「クシャクシャクルクル」「クシャクルル」破り取られたアルミホイルは丸められ、小さな玉が出来上がります。たぶんこの段階でその玉は僕めがけて飛んで来るはずだったのでしょうが、ココで登場した金槌によって「トントントントン」「トントトトン」玉は叩かれぺちゃんこに。平たくて硬くて、真んまるではないけれども丸い「銀貨の様なモノ」が出来上がりました。その子は銀貨に黄色いインクのマーカーで着色をしました。するとアルミホイルの銀貨が本物の金貨に変わったのです。「ざわざわざわ」教室がざわめき立ちました。それを見ていた別な子たちも真似して作り始めます。教室の中は「トンテンカントンテンカン」の大騒ぎです。誰かは銀貨を虹の七色で塗ってみます。不思議に混ざり合った色にコレも不思議な模様を描き込んでみる子もいます。そうして出来がったモノたちは誰も出会ったコトのない、地底の洞窟に棲むドラゴンや深海に潜む古代魚の「鱗(うろこ)」の様であり、あるいは森の妖精たちがまき散らす鱗粉(りんぷん)の様でもあり、宇宙から飛来した謎の鉱物(いし)のようでもありました。
何のヘンテツもないアルミホイルの一片は、子どもたちの手によって小さな玉になり銀貨になり金貨になり隕石にもなったし不思議な生き物たちの体の一部にもなりました。ソレらは子どもたちによって「光のうろこ」と命名されました。光から誕生した新しい何かが、今まで誰も出会ったコトのない未知なる者を包み込むように覆っている「うろこ」の一片に見えたからでした。 たくさんの素晴らしい「光のうろこ」が生まれました。そして、その一枚一枚が不思議な物語を持っていました。それは生まれたばかりなのに、この世界と別な世界とを繋ぐ「古の歴史(いにしえのれきし)」を語ります。新しくて古い物語をその身に宿した「光のうろこ」たちでした。「ただのアルミホイルでしょう?」当たり前の素材を当たり前な素材としてしか捉えられなければ、確かにそれはただのアルミホイルでしかないのです。しかし、そこにほんの少しの想像力の欠片が混ぜ込まれ、鍛錬されただけで、それは玉鋼(たまはがね)よりも純度が高く金剛石(ダイヤモンド)と同じくらいに硬いのに、鞣し革の様にしなやかな摩訶不思議な物体へと変化するのでした。
「工作をする」とは完成品を生み出すまでの過程を言い表す言葉であり行為だとしたら、断片的なイメージを綴り合わせる作業を工作とは呼べず、そうして生まれた「光のうろこ」は完成された作品ではありません。それは、想像力を膨らませる為の最初の部品です。子どもの頃、廃車置き場で拾った部品の一つからタイムマシーンが生まれました。宇宙船が生まれました。深海探査艇が生まれました。もちろん全ては空想の中での出来事です。
「光のうろこ」とはそう言うモノです。あらゆる可能性を秘めた物語がその中に存在している「種(たね)」のようなモノ、それが「光のうろこ」です。その種は子どもたちの手によって、自身の中に蒔かれます。物語が芽吹き、大きく育ち深く根付くかどうかは子どもたちの自由意思と想像力(創造力)にのみ委ねられるのです。