透明標本
『
、、お医者さんのような白衣を着て、ソファーの背にもたれかかり、腕を組んでいた。くたびれてはいないが、よく使い込まれた白衣のようだった。右のポケットと袖口と胸元に、涙がにじんだような薄い染みがあった。 彼はまっすぐにわたしを見た。濁りのない目だった。中庭からの光が目元を影にしていたが、それでも瞳の形がくっきりと浮き出ていた。 わたしはその印象的な視線から目をそらすことができないまま、つぶやいた。そして一度深く息を吸い込み、言葉を選びながら続けた。
「つまりここは、何かの研究室、あるいは、博物館のようなものなのでしょうか」
「いいえ。全く異なります」 あらかじめわたしの質問を予測していたかのように微笑みながら、彼は首を横に振った。 「ここでは、研究も展示も行われていません。役割は、標本を作り、保存すること、ただそれだけです。」
』
今朝、、
凍った車の窓ガラスが、
効き始めたヒーターの熱で溶けてゆくのを眺めていたら、
ふと、、
ある小説の中の、この一節が、
(一瞬だけ、、)
頭に浮かんで消えて行ったのでした。
溶けたフロントガラス越しに見えた大地は、
真っ白く霜柱に覆われていて、
上り始めた朝日の中で「しゃりしゃり」と細い音を立てながら、
お互いのカラダを支え合っているようでした。
『透明標本』みたいでしょう? (多少の色彩調整を加えておりますが)
複雑に絡み合う微細な組織が透けてしまうと、、
骨格は現れてくるのです。
しかしその骨格もまた、
繊細で微弱なモノタチによって構成されていて、
何時かはソレラも、
透けて見えなくなってしまうのです。
「何が残されるのでしょう?」
全てが透けて見えなくなってしまったら、、
そこには「透けて見えなくなったモノ」が、
残されるのでしょうか?
(微弱なる微笑み)
何のご報告もしないままに、
白河美術協会展は、
最終日を迎え、
終了しました。
搬入風景を写した写真も、
ファイルに取り残され、
使わないままに、、
展覧会は終了してしまったのでした。
写真に残される作品が、
代わり映えもせぬ同じ作品ばかりなので、
自分で自分に嫌気がさし始めているのです。
「なにをちょこまかうごきまわっているんだい?」
「そうすることになんのいみがあるんだい?」
「じぶんのことにじかんをつかうべきではないのかい?」
「じぶんをみてごらん?なにもさきへとすすめられてはいないじゃないか?」
「えかきはやめたのかい?」
たくさんの声が聞こえます。
(20代後半のある時期までつねに頭の中で誰かが喋り続けていた)
(一人のヒトの喋り言葉が幾重にも重なり合って聞こえ続けていた)
僕はすべての声を受け入れます。
受け入れますが、、 しかし?
しかし、理解するコトは不可能です。
でも?
でも、、、 それは仕方ないコトです。
僕は僕なので仕方ないのです。
僕の存在理由は僕自身が決めるから、
「放っておいてほしいのだ」
、、と僕はその声に応えます。
「僕と、僕のやっているコトが気に入らなければ、
目を閉じて僕を見なければいい。」
ただそれだけのコトです。
(単純で簡単なコトでしょう? 微笑)
「僕と、僕のやっているコトがほんの少しでも気にかかったとしたら、
しっかりと目を開けて僕のすることを見ていてください。」
僕の行為が誰かに誇れる行いかどうかは僕にもわからないのです。
でも、僕は、、
少なくとも今の僕は、ただ我がままなだけの僕ではない。
僕も少しは大人になっているのです
「僕は誰にもなれないし誰も僕にはなれない」
それが大前提です。
何の話をしているのか?
そんなコト僕にわかるわけないではありませんか。
けれど僕は「ちょこまか」と動き続けるのです。
そうするコトしか、今の僕には思いつけないのです。
今の僕は「自分のための時間」と言う概念を(愚痴はこぼしますが)受け入れられる(受け止められる)精神状態にはないのです。
同じ場所で「ばたばた」と足踏みしているのが今の僕であり、今の僕に出来る精一杯です。
でも、、
「絵描きはやめません」 (自己嫌悪)
精一杯やっているのに「自己嫌悪に陥る」と言うのは、
精一杯やっていないからですね。
「叫んだら声は誰かの耳に届きますよ」
いや、、 きっと届きませんね。
「なぜ?」
なぜなら「ぼくはさけばないからです」 (微笑)
ナゼナラ(ボクハサケベナイカラデス) (ビショウ)
「納得してもらうしかありませんね」
仕方のないコトなのです。
5日(月曜日)の午前中は、ヨシト君の教室でした。
ヨシト君の『マラカイト公園』第10作目は、
『シャムワニ』でした。
ヨシト君オリジナルの、、
サイン(「オリジナルのサイン」って変な言い方かな?)が入れられ、
ヨシト君オリジナルの、、
キャラクターシールが貼られて、
『マラカイト公園』第10作目の『シャムワニ』が、
完成したのでした。
(^〜^)
今夜は何だか変な気持ちの夜でした。
おやすみなさい。
(微笑)
、、お医者さんのような白衣を着て、ソファーの背にもたれかかり、腕を組んでいた。くたびれてはいないが、よく使い込まれた白衣のようだった。右のポケットと袖口と胸元に、涙がにじんだような薄い染みがあった。 彼はまっすぐにわたしを見た。濁りのない目だった。中庭からの光が目元を影にしていたが、それでも瞳の形がくっきりと浮き出ていた。 わたしはその印象的な視線から目をそらすことができないまま、つぶやいた。そして一度深く息を吸い込み、言葉を選びながら続けた。
「つまりここは、何かの研究室、あるいは、博物館のようなものなのでしょうか」
「いいえ。全く異なります」 あらかじめわたしの質問を予測していたかのように微笑みながら、彼は首を横に振った。 「ここでは、研究も展示も行われていません。役割は、標本を作り、保存すること、ただそれだけです。」
』
今朝、、
凍った車の窓ガラスが、
効き始めたヒーターの熱で溶けてゆくのを眺めていたら、
ふと、、
ある小説の中の、この一節が、
(一瞬だけ、、)
頭に浮かんで消えて行ったのでした。
溶けたフロントガラス越しに見えた大地は、
真っ白く霜柱に覆われていて、
上り始めた朝日の中で「しゃりしゃり」と細い音を立てながら、
お互いのカラダを支え合っているようでした。
『透明標本』みたいでしょう? (多少の色彩調整を加えておりますが)
複雑に絡み合う微細な組織が透けてしまうと、、
骨格は現れてくるのです。
しかしその骨格もまた、
繊細で微弱なモノタチによって構成されていて、
何時かはソレラも、
透けて見えなくなってしまうのです。
「何が残されるのでしょう?」
全てが透けて見えなくなってしまったら、、
そこには「透けて見えなくなったモノ」が、
残されるのでしょうか?
(微弱なる微笑み)
何のご報告もしないままに、
搬入風景を写した写真も、
使わないままに、、
展覧会は終了してしまったのでした。
写真に残される作品が、
代わり映えもせぬ同じ作品ばかりなので、
自分で自分に嫌気がさし始めているのです。
「なにをちょこまかうごきまわっているんだい?」
「そうすることになんのいみがあるんだい?」
「じぶんのことにじかんをつかうべきではないのかい?」
「じぶんをみてごらん?なにもさきへとすすめられてはいないじゃないか?」
「えかきはやめたのかい?」
たくさんの声が聞こえます。
(20代後半のある時期までつねに頭の中で誰かが喋り続けていた)
(一人のヒトの喋り言葉が幾重にも重なり合って聞こえ続けていた)
僕はすべての声を受け入れます。
受け入れますが、、 しかし?
しかし、理解するコトは不可能です。
でも?
でも、、、 それは仕方ないコトです。
僕は僕なので仕方ないのです。
僕の存在理由は僕自身が決めるから、
「放っておいてほしいのだ」
、、と僕はその声に応えます。
「僕と、僕のやっているコトが気に入らなければ、
目を閉じて僕を見なければいい。」
ただそれだけのコトです。
(単純で簡単なコトでしょう? 微笑)
「僕と、僕のやっているコトがほんの少しでも気にかかったとしたら、
しっかりと目を開けて僕のすることを見ていてください。」
僕の行為が誰かに誇れる行いかどうかは僕にもわからないのです。
でも、僕は、、
少なくとも今の僕は、ただ我がままなだけの僕ではない。
僕も少しは大人になっているのです
「僕は誰にもなれないし誰も僕にはなれない」
それが大前提です。
何の話をしているのか?
そんなコト僕にわかるわけないではありませんか。
けれど僕は「ちょこまか」と動き続けるのです。
そうするコトしか、今の僕には思いつけないのです。
今の僕は「自分のための時間」と言う概念を(愚痴はこぼしますが)受け入れられる(受け止められる)精神状態にはないのです。
同じ場所で「ばたばた」と足踏みしているのが今の僕であり、今の僕に出来る精一杯です。
でも、、
「絵描きはやめません」 (自己嫌悪)
精一杯やっているのに「自己嫌悪に陥る」と言うのは、
精一杯やっていないからですね。
「叫んだら声は誰かの耳に届きますよ」
いや、、 きっと届きませんね。
「なぜ?」
なぜなら「ぼくはさけばないからです」 (微笑)
ナゼナラ(ボクハサケベナイカラデス) (ビショウ)
「納得してもらうしかありませんね」
仕方のないコトなのです。
5日(月曜日)の午前中は、ヨシト君の教室でした。
ヨシト君の『マラカイト公園』第10作目は、
ヨシト君オリジナルの、、
ヨシト君オリジナルの、、
『マラカイト公園』第10作目の『シャムワニ』が、
(^〜^)
今夜は何だか変な気持ちの夜でした。
おやすみなさい。
(微笑)
by yoshikazusuzuky
| 2012-11-06 01:30
| 記憶の欠片
|
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